捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「……どうして、和家さんがここに?」

「僕がハイシェランドホテルのCEOだからだが?」

辺りを見渡したが秘書らしき男性がいるだけで、他にCEOらしき人はいない。
和家さんが、あのハイシェランドホテルのCEO?
ただの偶然じゃなくて?

「というか気づかないなんて李依、間抜けすぎないか?」

彼が中に入るように促すので、一緒に会社に入る。
私がハワイで泊まっていたのはハイシェランドホテルで。
和家さんがそこのCEOなら、スイートがタダの意味も、部屋に勝手に入っていたのも説明がつく。

「それはそうですが……」

自分でもどうして気づかなかったのか不思議だ。
彼の言うとおり間抜けすぎて笑える。

「さて。
今日は李依ご自慢の枕を見せてもらおうかな」

にこにこと笑いながら私の腰を抱くようにして進んでいく和家さんの後ろを、困惑顔で上役たちがついてくる。

「自慢の枕……?」

と少し考えて、和家さんに、枕はうちの会社のものが最高です、なんて熱く語ったのを思い出した。
しかし、そんな理由だけでわざわざ来たんだろうか。

「ああ。
僕のホテルに置くものは一流のものを揃えたい。
今のよりもよりよいものがあるというのなら、確認しなくてはな」

真面目に和家さんが頷く。
彼のそういう姿勢は尊敬できた。
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