捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
和家さんは真剣に悩んでいるが、なんだか私の妊娠で大袈裟な話になってきた……。

「いえ、だから、私がアメリカに着いていきますから、そこまでしなくても」

「いやダメだ。
李依に無理はさせられない」

話は平行線のまま、交わりそうにない。
じゃあ、これならどうかな。

「別居でも大丈夫です。
それで、たまに寄ってくれたら」

それでもここに家を買うことになるんだろうし、無駄なお金は使わせるが、仕事で無理をさせないだけマシだ。

「バーカ。
それじゃ、結婚する意味がないだろ」

「あいたっ」

デコピンされてヒリヒリ痛む額を押さえる。

「僕はできるだけ李依と一緒にいて、李依を甘やかせたいの。
だから素直に甘えとけ」

和家さんの手が、言い聞かせるように軽く私の頭をぽんぽんした。

「それに母国である日本に、李依の待つ家があると思うと嬉しい」

「そう、ですか」

「うん」

彼が私の隣に腰を下ろす。
顔が近づいてきてあれ?とか思っているうちに、彼の唇が私の額に触れた。
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