捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「まあ、正直に言えば、僕は家が嫌いでほとんど帰っていなかったんだ。
でも、李依が待っているなら喜んで帰る」

「家が、嫌い……?」

さらっと出てきたけれど、それってどういう意味なんだろう?
「和家さんのご両親って……?」

親と同居で仲が悪いとかならわかる。

「僕に両親はいない。
育ててくれた祖母ももう死んだ」

さっきまでと違い和家さんの声は淡々としていて、感情がない。
なにか、地雷を踏んでしまった……?

「その。
……すみませんでした」

「なんで李依が謝るんだ?
それにどのみち、結婚するんだから家族の話はしなければいけない」

それはそうだけれど、やはり聞いてはいけない話だった気がする。
これからは触れないように気をつけよう。

「それより、身体は大丈夫なのか?
今日だってほぼ食べてないし」

「あー……。
食べられるときは食べているので」

適当に笑って誤魔化してみる。
カロリーゼリーでどうにかやっているだなんて言えない。

「つわりでも食べられるもの、調べておくな。
ここにもノンカフェインの飲み物を常備するようにする」
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