捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「その、送り迎えはありがたいんですが、あの」

……このリムジンは目立つからやめてほしいです。

というのはなんか、言いづらい。

「今日はたまたま、だな。
ちょうど時間に余裕があったんだ」

「ああ、そうですか……」

なら、これからはない?
それならちょっとだけ安心だ。

「僕自身が行けない日は、迎えを寄越すから心配しなくていい」

和家さんはそれが当たり前だというふうな顔をしている。
その申し出は大変ありがたいが、それもこのリムジンではないと思いたい。

「しかしハイヤーになると思うから、すまないな」

「いえ……」

……ハイヤー大歓迎!
とか心の中で大喜びしていたのに。

「どうせ李依用の車もいるし、もう一台リムジンを買うかな……?」

なんて和家さんが悩みだしてどきまぎした。

ホテルに帰り、夕食は部屋に取ってくれた。

「あの、取っていただいたのに申し訳ないのですが、食べられる気がまったくしないので……」

「いいから」

肩を押されて渋々椅子に座る。
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