捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「そうか。
も、もし、ハワイで結婚直前の彼から別れを告げられて弱っている娘につけ込んで孕ませるなんてとか、言われたらどうしよう」

想像しているのか、和家さんは青くなってガタガタ震えている。
この人でも結婚相手の親に会うのは怖いのだと意外だった。

「大丈夫ですよ、私こそ旦那と別れた直後にそんなふしだらなってち、父に……」

今度は私が、みるみる血の気を失っていく。
……怒鳴られる。
確実に怒鳴られる。
ううっ、今すぐこの新幹線を止めたい……。

「大丈夫だ。
僕がきちんと説明をする」

私を力づけるようにきゅっと、和家さんの手に力が入った。

「いえ。
これは私の問題なので、私がちゃんと説明します」

あの夜、それを和家さんに許したのは私なのだから、私の責任だ。
彼に負わせるわけにはいかない。

「そういう李依、格好よくて惚れ直す」

ふふっとおかしそうに彼が笑い、頬が熱くなっていった。

「けれど僕にも説明させてくれ。
李依ひとりに守られているだけだなんて、格好悪すぎるだろ」

ちゅっと和家さんの唇が私の頬に触れる。

「でも……」
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