捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
これは私の問題。
私だけの問題だ。
和家さんに迷惑をかけるわけには。

「ひとりで背負わない。
子供はひとりで作れるものじゃないだろ?」

軽く、彼が私の額を弾く。

「僕にだって責任はある。
それにまだ籍は入れてないとはいえ、僕たちはもう夫婦だ。
だから李依の問題は僕の問題」

和家さんはそれが当たり前といった顔だが、本当にそうなんだろうか。

「なんでもかんでも自分のせいだと思わない。
それは、李依の悪いところだ」

「ふがっ!?」

黙っていたら鼻を摘ままれた。

「そういう悪いところは直そうな」

「……はい」

ヒリヒリ痛む鼻を押さえた私を、和家さんは笑って見ている。
これだけ言われても、やはりわからない。
でも悪いところと言われるのなら、そうなのかな……。

駅からはさすがに、タクシーだった。
それもチャーターした高級車だったが。

「……ただいま」

おそるおそる、実家のドアを開ける。

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