捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
しかし今はグッジョブ、お母さんだ。

父と向かい合って座る。
母もすぐにお茶を出してテーブルに着いた。
それを合図に、父が口を開く。

「ハワイでアイツと別れたと聞いたが、それからふた月ほどで別の男と結婚するとは、どういう了見だ?」

父は暗に、私が原因で別れたんじゃないかと言っている。
しかも娘が悪くないと思いたいのか、その視線は和家さんに向いていた。

「あの人と別れてホテルも追い出されて、途方に暮れていた私を助けてくれたのが和家さんなの。
だから、やましいことはなにもない」

嘘偽りはないと真っ直ぐに父を見る。

「それが事実だとして。
それでもこんなに急いで結婚なんてする必要ないだろうが。
疑ってくださいと言ってるみたいなもんだ」

父の言うとおりだけれど、私たちには早くしなければならない事情があるのだ。
それを言えば、さらに父を怒らせる。
今ですら、かろうじて怒鳴るのを抑えている状態だ。
言ったあとを考えると、怖い。

「李依。
僕から言おうか?」

なかなか答えられずにいる私の手を、そっと和家さんが握ってくれた。
それに黙って首を振る。
これは私の問題。
どれだけ言われようと、和家さんにさせるわけにはいかない。
自分の口かきちんと、話さなければ。

「お父さん、お母さん。
私、和家さんの子供を妊娠しています。
和家さんの子供を産みたいんです。
和家さんとの結婚を許してください」
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