捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
精一杯の気持ちで両親へ向かって頭を下げた。

「僕からもお願いします。
李依さんと結婚させてください」

和家さんも私の隣で頭を下げる。
父と母から返事はない。
許してくれなくても、私は和家さんの子供を産む。
それだけは私の中で揺るがなかった。

「……もう一度、順を追って説明しろ」

ようやくかけられた父の言葉で頭を上げる。
その声はさっきまでとは違い、静かだった。

「はい」

きっと両親はわかってくれる。
そう信じて、私はこれまでの経緯をあらためて話した。

……結局。

「ご両親、許してくれてよかったな」

「そうですね」

私と手を繋ぎ、和家さんはご機嫌だ。
帰りの新幹線も車両貸し切りだった。
こういう普通じゃないところは、少しずつ慣れていくしかないのかな……。

「それにしても李依のお父さん、こ、怖かったな……」

思い出しているのかぶるぶると和家さんが震えだす。
それがおかしくてつい笑っていた。
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