捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
私自身をいくら悪く言われてもいい。
でも、私のせいで彼を不幸にするのは嫌だ。

「ねぇ。
どうしたらいいか、もうわかるわよね?」

なにも答えられなくて、ただ黙っていた。
彼女もそれ以上話さず、黙々と食べている。

「じゃあ、お先ー」

食べ終わった彼女が席を立っても、動けずにそこに座っていた。
私と一緒にいても悠将さんは幸せになれない。
悠将さんを幸せにするのは私じゃなくきっとジャニスさんだ。
なら、私は身を引くべき?

「私が幸せにするって誓ったんだけどな」

それは、私の役目じゃなかった。
一緒にいれば幸せにするどころか不幸にする。
もう、一緒にはいられない。
じっと見つめたテーブルの上にいくつも悠将さんの笑顔がよぎっていく。
出そうな涙を堪え、ただそれを見ていた。
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