捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「私のせいで、和家さんがホテルのひとつを失ったと聞きました。
私と一緒にいたら、和家さんは幸せになれない。
私じゃ和家さんを幸せにしてあげられない、から。
子供は責任を持って育てます。
だから、気にしないでください」

視線は合わせられなくて俯いた。
出てくるな、涙。
彼の幸せを願うなら、これが一番いい選択なんだから。

「……それは李依のいいところであり、悪いところだ」

頭の上に悠将さんの声が落ちてくる。
それは、怒っているようだった。

「僕の幸せのために自分は黙って身を引く?
李依はそうやって、自分に言い聞かせて諦めているだけじゃないのか」

彼の声がずっしりと胃の腑に落ちる。
私が諦めていた……?
考えてみれば悠将さんの言うとおりだ。
本当はハワイであの人に別れを告げられたとき、泣いて喚いて責めたかったかもしれない。
でも、それで彼が幸せになれるんだからいいんだと自分に言い聞かせた。
今だって。

「自分の気持ちはちゃんと伝えろ。
それすらせずに諦めるな」

私の肩を掴む、悠将さんの手が痛い。
しかしそれだけ、私を思ってくれている。

「……悠将さんと一緒にいたい」

自分から出た声は情けないほど震えていた。

「悠将さんと子供と一緒に、温かい家庭を築きたい。
私が悠将さんを幸せにしたい」

おそるおそる顔を上げると、レンズ越しに目が合った
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