捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
「なにか飲んだほうがいい」

悠将さんが置いてあるティバッグでお茶を淹れ、カップを渡してくれた。
レモンのいい香りを吸い込めば、頭もすっきりする。

「それで。
これは李依の指に戻していいんだよな?」

私の前に跪いた彼が、私の外した指環を見せてくる。

黙って頷いたら、悠将さんは私の左手薬指にそれを戻した。

「二度とこの指環を外すのは許さない。
わかったな」

指環ごと私の左手を掴んだ悠将さんが、眼鏡の奥から強い意志のこもった瞳で私を見ている。
それに視線は逸らせず、ただ無言でこくんと頷いた。

「わかったならいい」

私の返事で表情を緩め、彼が隣に座る。

「僕の幸せは僕が決める。
李依にも決めさせないと言ったはずだ」

妊娠したのがわかって結婚を迫る悠将さんに、私といたら幸せになれないからと突っぱねたときに言われた。
私はあのときから進歩がなくて嫌になる。
さらに。

「あと、なんでもかんでも自分のせいだと思い込むのは悪い癖だから直せと言っただろ」

「ふがっ!?」

むぎゅっと鼻を摘ままれて変な声が出た。
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