捨てる旦那あれば拾うホテル王あり~身籠もったら幸せが待っていました~
そういえばあの夜、彼はなにか言っていた。
それを覚えていない私が悪い……のか?
でもあのときは散々彼が責めてくれたおかげでくたくたで、そんな余裕はなかったのだ。

「……子供ができたから仕方ない結婚するんじゃないんですよね?」

それでもつい、自信のない私は確認してしまう。

「は?
李依はまだ、僕の愛を疑っているのか?」

「それは……」

疑っているわけではない。
ただ、こんな理由で決まった結婚だから不安がなくならないのだ。

「李依にプロポーズするつもりで帰国したんだ。
李依が僕の子供を妊娠していたのは驚いたが……それについては詫びなければならない」

私の手を握り、悠将さんはじっと視線を合わせた。

「詫びるだなんて、そんな。
それを許した私にも、責任があるんですから」

「違うんだ」

彼が首を横に振る。
いったい、悠将さんはなにが言いたいんだろう。
落ち着かない気持ちで次の言葉を待つ。

「李依が妊娠すればいいと思った。
そうしたら子供を理由に結婚を迫れる。
僕は……最低、だろ?」

らしくなく彼が項垂れ、胸が苦しい。
それに、私だって。
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