若頭、今日もお嬢を溺愛する
「雷十…」
「こんな震えてる杏ちゃんを、抱いていいんですね?」
雷十の手が、口唇に触れ下に滑る。

左胸に触れた、雷十。
「心臓…早っ!」
「そりゃ、そうだよ!緊張してるもん!!」

「きっと……途中では止まらないですよ」
「うん」
「やめてって泣いても、止まらないです」
「うん」
「縛ってでも、抱きますよ?」
「うん。
………雷十、往生際が悪いよ。
私が、いいって言ってるんだから!」
杏子が少し微笑んだ。

「………そうですね。
わかりました!じゃあ…いっぱい杏ちゃんを愛させてください!」
そう言うと、雷十は杏子を抱き上げた。

「雷十?」
「風呂、入りましょ?」
「うん。でも、自分で行くよ?」
「それはダメです。もう…逃がしませんから」
「は?てか、逃げる気さらさらないんだけど?」

「フフ…杏ちゃんがわかってないだけです。
俺の愛情の深さも、俺に愛されることの意味も」

バスルームへ移動し、脱衣室で杏子を下ろした。
そして帯に手をかけた。
「着物、脱ぎましょうね」
「え?ちょっ……」
「え?って、裸にならないと風呂入れませんよ?」
「いや、そうじゃなくて!
自分で━━━━━」
「だから!ダメです!俺が全部します!」

あっという間に、着物が脱がされ裸になる杏子。
「……/////は、恥ずかしい…////」
「ちょっと待ってくださいね。
俺も脱ぎますから!」

バサッと脱いだ雷十。
初めて見る、雷十の裸。
胸の刺青がなぜか色っぽくて、杏子は見惚れていた。
「……/////」

雷十が身体を洗ってくれ、バスタブに入る。
「杏ちゃんは、思った通り綺麗な身体してますね!」
「そうかな?
雷十は、思ってたのと違う」
「え?」
「もっと…傷だらけなのかと思ってた」
「そうですか?」
「だって、中学生の時から喧嘩ばっかだったんでしょ?
パパが言ってたよ。
“雷悟”って暴走族をパパと一緒に作ったって」
「そうですよ。よく、喧嘩売られてました。
でも俺、負けたことないんですよ!
相手に反撃も許さなかったので、傷なんてありません」
「そうなんだ!でも、あのパパが暴走族なんて信じられないんだよね。だって、おじぃ様のことも一時期嫌ってたでしょ?」
「大悟は喧嘩はしたことないですよ。
あいつはとにかく頭がいいから、参謀みたいな感じかな?あいつが暴走族に入ったのは、オヤジを潰す為です。組を潰して、組員達を表の世界に出してやるって言ってました」

「でも、潰れてないよ?鶴来組」

「それは……亜子ちゃんが、亡くなったからです」
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