若頭、今日もお嬢を溺愛する
「ひゃっ!!!雷十!!離して!!」
「嫌です!!ちゃんと、説明してください!!」
「今の雷十は嫌なの!!」

「俺を拒むな!!!」

「え……らい…」
「杏ちゃん、ダメだ!俺を拒むなんて、絶対許さない!!」

「だったら、この臭いどうにかしてよ!!?」
杏子は雷十を見上げ、涙を溢れさせて言った。
「え……杏…ちゃ…?」

「雷十とパパ、凄い女性物の香水とお化粧の臭いするんだよ!そんな人と、くっつきたくない!
それに!今年も、沢山のバレンタイン貰ってきたんでしょ?」

「杏ちゃん、知ってたんですか?」

「知らないわけないじゃん!!
二人がクラブに行った日は、すぐにわかる。
雷十やパパの匂いが消えてるから。
いつも…ホステスさんの香水とお化粧の臭いで、いっぱいだもん!
だから、嫌なの!
大丈夫だよ!ちゃんと、明日説明するから。
私、先に寝るね。おやすみなさい」

「………」
「おやすみ…杏…」

雷十は無言で杏子を追いかけ、抱き上げた。
「え━━━━!!!?
ちょっ…雷十!!下ろして!!下ろせ!!」
「………」
雷十は言葉を発することなく、そのまま浴室へ向かった。
脱衣所で下ろし、杏子の服を脱がせていく。

「え?え?何してんの?」
「臭い……消しますから、抱かせてください」
「え?雷十?」
「杏ちゃんに拒まれるなんて、死ぬより辛いんです」
そして、杏子を裸にした。
雷十自身も、スーツを脱ぎ裸になる。

シャワーを流しながら身体を洗い雷十は、杏子の口唇や身体を貪った。
「や、やだ…雷…やめて…こんな……」
「可愛いなぁ…杏ちゃん……それより、臭い…消えました?」
「え?あ、うん…」
「良かったぁ!じゃあ、ベットに行きましょ?
もう…拒まないでくださいね!」

ベッドに移動する、雷十と杏子。
「杏ちゃん…可愛い……抱いていいですか?」
「嫌って言ったら?」
「は?」
「どうなるの?」
「本気で言ってますか?」
「聞いてるのは、私だよ」
「無理矢理はしません」
「………」
「……でも…」
「え?」
「本気じゃないですよね?
なので、好きにします」

「雷十」
「はい」
「好きだよ」
「はい、俺も大好きです」
「私、雷十の匂い大好き!」
「匂いですか?」
「うん、雷十自身の匂いだと思うんだけど、香水や煙草とは違う…私にしかわからない匂い」
「へぇー」
「私、キモい?」
「いえ!可愛いです」
「可愛いか?」
「可愛いです」
「そうかな?
だからね、雷十の香水や煙草ならいいの。
それも、雷十の匂いだから。
でも他の…しかも女の人の臭いに消されるのは耐えられない!」
「はい」
「だから、拒んだの。ごめんね」
「わかってますよ。俺が悪いんです!次からは、ちゃんと臭いを消して杏ちゃんの元に帰りますね!」
「うん。
……………ねぇ…」
「はい」
「日付、変わったね!」
「はい」

「今日、バレンタインだね」
「はい」

「雷十、大好きだよ」
「はい、俺も」
「だから………」
「はい」

「私のこと、好きにしていいよ!」
そう言って、杏子は両手を広げ真っ直ぐ雷十を見て微笑んだ。
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