若頭、今日もお嬢を溺愛する
雷十と大悟は、義兄弟で同い年だ。
でも血は繋がっていない。
それは雷十が、文悟の亡くなった妻の親友の息子だから。
文悟は妻を早くに亡くし、その妻の遺言で身寄りのない親友の雷十の母親と雷十と守ってほしいとの言葉を受け、雷十の母親を後妻にしたのだ。
しかし雷十の母親も、まもなくして亡くなった。
大悟は文悟の息子とは思えない程の物腰が柔らかい人間で、雷十を快く受け入れた。
二人は親友のような関係なのだ。
大悟は会社を経営していて、雷十が裏から守っている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
「杏子、お年玉だ!」
そう言って、文悟が傍に控えていた部下に「おい」と言うと、部下も返事をして分厚い封筒を出した。
「………これ、何が入ってるの?」
「金」
「てか、いくら?」
「去年、杏子が金額が大き過ぎるって言ったから100だ」
「は━━━?」
「え?今度は少なすぎか?
じゃあ…もう100万……」
「ちげーよ!!
…………あ、じゃない!違うよ、おじぃ様!!」
「あ?杏子、ワシにはよくわからん!!
いくらならいいんだ?」
「お金はいらないよ。
毎月、パパがお小遣いくれるし。
気持ちだけで、十分だよ!ありがとう!おじぃ様」
「じゃあ、パパからは貰ってくれる?」
「は?」
「はい!」
「パパ……これも分厚い……」
「うん、だって100万だもん!」
「………」
(やはり…バカだ!)
「杏ちゃん、俺からもありますよ!」
「は?まさかの……」
「はい!100万!!」
「こんの…バカ!!」
「杏、なんで怒るの?」
「だよね。杏ちゃん、どうしました?」
「今、おじぃ様にいらないっつったでしょ!?私」
「は?それは、父さんのお金だろ?」
「だから、大悟と俺から!!
ほんとはね、去年みたいに500で統一しよって話してたんですが、杏ちゃんが金額が大き過ぎるって言ったから、100にしたんですよ?」
「はぁー、三人はお年玉の相場知ってる?」
「知らねぇな」
「知らない」
「相場、あるの?」
三人が、首を傾げる。
「“高くて”一万だよ」
「「「は?」」」
「なんだ、それ。ワシにはよくわからん!」
「たった一万で何を買うの?世の子ども達は」
「だよね…杏ちゃん、騙されてません?」
(いや、あんた等の金銭感覚がぶっ飛んでんだよ!?)
「お話し中、失礼しますっ!
お嬢に、お客様です」
「え?あーー!!ヤバい!!」
「杏ちゃん?」
「おじぃ様、パパ、雷十。
ちょっと出てくる!笹美と初詣に行ってくる!
お昼までには帰るから!」
「ちょっと、杏ちゃん!」
「ん?何!?」
「俺も行きます!」
「え……?雷十はいらないよ、すぐだし」
「は?運転手としてでも!」
「は?あんた、お酒飲んでたじゃん!」
「杏ちゃんを危険に晒すくらいなら、飲酒運転くらい……」
「いや、危険はないから!
とにかく!行ってくる!」
バタバタと行ってしまった、杏子。
「怪しいな…」
「だよな…嫌な予感がする」
大悟と雷十の雰囲気が悪くなる。
「男がいたりしてな」
文悟の呟きに更に雷十と大悟は機嫌を悪くし、賑やかだった大広間に緊張が走るのだった。
でも血は繋がっていない。
それは雷十が、文悟の亡くなった妻の親友の息子だから。
文悟は妻を早くに亡くし、その妻の遺言で身寄りのない親友の雷十の母親と雷十と守ってほしいとの言葉を受け、雷十の母親を後妻にしたのだ。
しかし雷十の母親も、まもなくして亡くなった。
大悟は文悟の息子とは思えない程の物腰が柔らかい人間で、雷十を快く受け入れた。
二人は親友のような関係なのだ。
大悟は会社を経営していて、雷十が裏から守っている。
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「杏子、お年玉だ!」
そう言って、文悟が傍に控えていた部下に「おい」と言うと、部下も返事をして分厚い封筒を出した。
「………これ、何が入ってるの?」
「金」
「てか、いくら?」
「去年、杏子が金額が大き過ぎるって言ったから100だ」
「は━━━?」
「え?今度は少なすぎか?
じゃあ…もう100万……」
「ちげーよ!!
…………あ、じゃない!違うよ、おじぃ様!!」
「あ?杏子、ワシにはよくわからん!!
いくらならいいんだ?」
「お金はいらないよ。
毎月、パパがお小遣いくれるし。
気持ちだけで、十分だよ!ありがとう!おじぃ様」
「じゃあ、パパからは貰ってくれる?」
「は?」
「はい!」
「パパ……これも分厚い……」
「うん、だって100万だもん!」
「………」
(やはり…バカだ!)
「杏ちゃん、俺からもありますよ!」
「は?まさかの……」
「はい!100万!!」
「こんの…バカ!!」
「杏、なんで怒るの?」
「だよね。杏ちゃん、どうしました?」
「今、おじぃ様にいらないっつったでしょ!?私」
「は?それは、父さんのお金だろ?」
「だから、大悟と俺から!!
ほんとはね、去年みたいに500で統一しよって話してたんですが、杏ちゃんが金額が大き過ぎるって言ったから、100にしたんですよ?」
「はぁー、三人はお年玉の相場知ってる?」
「知らねぇな」
「知らない」
「相場、あるの?」
三人が、首を傾げる。
「“高くて”一万だよ」
「「「は?」」」
「なんだ、それ。ワシにはよくわからん!」
「たった一万で何を買うの?世の子ども達は」
「だよね…杏ちゃん、騙されてません?」
(いや、あんた等の金銭感覚がぶっ飛んでんだよ!?)
「お話し中、失礼しますっ!
お嬢に、お客様です」
「え?あーー!!ヤバい!!」
「杏ちゃん?」
「おじぃ様、パパ、雷十。
ちょっと出てくる!笹美と初詣に行ってくる!
お昼までには帰るから!」
「ちょっと、杏ちゃん!」
「ん?何!?」
「俺も行きます!」
「え……?雷十はいらないよ、すぐだし」
「は?運転手としてでも!」
「は?あんた、お酒飲んでたじゃん!」
「杏ちゃんを危険に晒すくらいなら、飲酒運転くらい……」
「いや、危険はないから!
とにかく!行ってくる!」
バタバタと行ってしまった、杏子。
「怪しいな…」
「だよな…嫌な予感がする」
大悟と雷十の雰囲気が悪くなる。
「男がいたりしてな」
文悟の呟きに更に雷十と大悟は機嫌を悪くし、賑やかだった大広間に緊張が走るのだった。