若頭、今日もお嬢を溺愛する

｢杏ちゃん｣
｢ん？雷十、何？｣
それからもみんなで楽しく話していると、雷十が声をかけてきた。

｢急に仕事が入って、行かなきゃいけないんです。
でも大悟が来てくれるみたいなので、安心してくださいね！｣
｢うん。わかった！てか、パパ来なくていいよ。
一人で大丈夫だし｣
｢それはダメです。杏ちゃんを一人になんてさせません｣
｢……うん｣
｢じゃあ、行ってきますね！｣
｢うん、早く帰ってきてね！｣
｢………｣
｢雷十？何？｣
｢いやぁ…可愛いなぁと思って！｣
｢……/////早く行きなよ！｣
｢チューしておきますか？｣
｢しない！｣
｢素直じゃないなぁ！じゃあ、それは帰ってからしましょう！｣
頭を撫で言った雷十は、嬉しそうにカフェを出ていった。

そしてほぼ入れ違いに、大悟が入店してきた。
｢杏｣
｢あ、パパ！｣
｢卒業、おめでとう！｣
頭をポンポンと撫でて言った、大悟。
杏子が微笑むと、大悟は手を頬に移した。
｢パパ？｣
｢亜子がここにいるみたいだな……｣
｢そうかな？｣

｢あ、ごめんな。邪魔はしないから！
君達、これからも娘を頼むね！｣
そう言って、微笑んだ。
近くの席に行こうとする、大悟。

｢あ！あの！｣
｢ん？｣
笹美が大悟を呼び止める。

｢笹美？｣
｢何？｣
｢あ、あの////一緒に、どうですか？
お父さんが良ければ…！｣
｢え？｣
｢笹美、気を遣わせてごめんね！パパのことは、大丈夫だよ！雷十やパパが心配性なの。
やっぱ、パパ帰って！｣
｢違うの！できれば、杏子のお父さんと話したいなって！｣
｢君達がいいなら、俺は構わないよ！｣

杏子と笹美の間に座った、大悟。
笹美は顔を赤くして、大悟を見ていた。
｢笹美、どうしたの？｣
｢杏子は、お父さん似？｣
｢んーどうだろ？｣
｢杏は、母親似だよ！｣
そう言って、スマホの画像を見せた大悟。

｢ほんとだ！杏子がいるみたい！綺麗…｣
笹美達が惚れ惚れしている。
｢この写真を撮って、ちょうど一ヶ月後に亡くなったんだよ｣

｢｢｢｢え………｣｣｣｣

｢これ…制服着てるってことは、まだ学生ですよね？｣
｢うん、亜子の高校卒業式の写真だから、今の杏と同じ年で亡くなったんだ｣
｢そうなんだ……｣

｢ごめんね…雰囲気、暗くさせて！
もっと楽しい話をしよう！
笹美ちゃんは、彼氏は？｣
｢あ、俺が彼氏です！｣
｢へぇー君か！なんか、恋人同士っていうより…夫婦みたいだね！｣
｢あー幼なじみだからかな？俺と笹美と、こいつ…虎太郎は、幼稚園の時から一緒なんで……｣
｢へぇー、君は？｣
｢あ、僕はついさっきと言いますか……｣

｢あ！杏を連れ出した“悪魔”か！｣