若頭、今日もお嬢を溺愛する
雷十「杏ちゃん、俺からもお祝いあります」
杏子「もういいよ!おじぃ様とパパからで十分。
雷十が傍にいてくれたら、それで……」

雷十「とっておきのお祝いがあるんです。
だから、楽しみにしててくださいね!」

杏子「うん、ありがと!」

中盤になり、文悟が浅井を連れ会場を後にした。
文悟「杏子、おやすみ!雷十、後は頼む」
浅井「お嬢、若。お先に失礼します。
おやすみなさい!」

すると━━━━━━━
今まで正座で座っていた部下達が、胡座になり張り詰めていた雰囲気も切れた。

手毬「なんか、急に場の雰囲気が……」
虎太郎「緩んだな!」

大悟「親父がいなくなったから、相手して?」
大悟が杏子達の中に入ってきた。

笹美「……/////カッコいい…////」
大悟「あのおじぃさん、怖いでしょ?」
笹美「あ、いえ…」
杏子「浅井さんの方が怖いって!」
大悟「浅井?あーそうだね。あいつは父さんを神様と思ってるからね。警戒心と威圧が凄まじいもんね」
雷十「そうだな」
大悟「フッ!!雷十もだろ?」
雷十「は?オヤジを?
…………それはない!恩はあるが、慕ってはねぇよ!」

大悟「違うよ」
雷十「は?」
大悟「杏のこと!」
雷十「杏ちゃん?」
大悟「杏に関わると殺意を向けられるって、部下達が漏らしてるよ」

昴・虎太郎・手毬「確かに……」

雷十「あ?」
昴達を睨み付ける。
杏子「雷十!!」
雷十「あ、はい!ごめんなさい」
杏子「言ったよね?みんなを怖がらせたら、口聞かないよって!」
雷十「嫌です!口聞いてくれないなんて、耐えられません!」
杏子「私だって、嫌なんだから!そんな悲しいことさせないで!!」
雷十「はい。すみません」


そして━━━━━━━
ガシャーーーーン!!!と大きな音がしたかと思うと、組員達が喧嘩をし出した。
「てめぇ!!!もういっぺん言ってみろ!!?」
「あぁぁん!!?」

杏子「あ…やだ……また…」
咄嗟に雷十の着物を握りしめる、杏子。

大悟「始まったな」
雷十「……ったく、こいつ等は…!瓜生!!」

瓜生「はい」
雷十の後ろに控えていた瓜生が返事をして、組員達の所へ向かった。

大悟「君達、悪いんだけど…杏を連れて向かいの部屋に行っててくれる?」
雷十「早く、連れていけ!
…………杏ちゃん、すぐ終わりますからね!」
杏子の頭を撫でた。

手毬「あ、はい。
鶴来さん、行こ?」
杏子「………うん…」

手毬が手を差し出すと、杏子が小さく手を握った。

手毬が手を繋ぎ、杏子を部屋の外に出す。
笹美達も続いた。
向かいの部屋に入る。

杏子を座らせると、背中をさすった手毬。
手毬「鶴来さん、大丈夫?」
杏子「うん…」
笹美「杏子?」
杏子「喧嘩は嫌い…」
笹美の着物にしがみついて顔を埋めた。

手毬は、背中をさすり続けた。

虎太郎「杏子ちゃん、どうして?」
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