若頭、今日もお嬢を溺愛する
「笹美、ごめんねー」
「もう!!あんたの家は怖いんだから、迎えになんか行かせないでよ!」
「ごめんね!」

笹美と二人、屋敷を出る。
大きな神社に向かった。

「杏子ちゃーん、笹美ー!」
(すばる)くん、虎太郎(こたろう)くん!ごめんね、遅くなって…」
「ううん。あけおめ!」
「杏子ちゃん、今年もよろしくね!」
「うん!こちらこそ、よろしくね!」
「え?虎太郎、私は(笑)?」
「あ、ごめん!笹美も、よろしく!」

笹美、昴、虎太郎の三人は、幼なじみ。
杏子とは高校で知り合い、杏子の家業を知っても友人でいてくれた貴重な人達だ。

笹美と昴は恋人同士で、虎太郎は杏子に憧れを抱いている。
「行こうぜ!」
昴が笹美の手を握る。
その自然な行為を、杏子は微笑ましく見ていた。

「俺達も繋ぐ?」
「え?」
「………なーんてね(笑)」
虎太郎が杏子を見下ろし言った。

「……/////」
「てか!杏子ちゃんって、手…ちっさ!!」
手を掴んだ、虎太郎。
手を合わせてきた。

「ほら!」
「いや、虎太郎くんが大きいのでは?」
「そうかなー?」

「…………杏子ちゃんってさ」

「ん?え……ちょ…!?」
虎太郎がそのまま、指を絡めてきた。

「いるんだよね?彼氏」
「え?あ、うん」
「へぇーどんな人?」
「どんな?
変態で、バカ?」
「は?何それ(笑)」

「でも……」
「ん?」
「強くて、優しい人だよ」
「そっか…」
「…………あの、虎太郎くん」
「ん?」
「手…離してくれる?」
「……このまま、繋ご?」
「え?あの…」
そのまま、手を引かれた。

雷十とは違う、手の感触。
ここで手を振り払ったら、嫌われるのではないか。
ヤクザの孫娘の杏子。
虎太郎達は、貴重な友人だ。

杏子は振り払えなかった。

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お詣りをして、近くのカフェに入った杏子達。
「え?お年玉?」
「うん…笹美達は、いくら貰ったの?」

「私は両親や親戚から、一万ずつ!ほら、来年大学生だしね!」
「俺も~」
「俺は、8,000とか、一万とかかな?」

(やっぱ、そうじゃんか!雷十のバカ!!)

「杏子んとこは、過ごそうよね!」
「ハハハ……」
「10万とか(笑)?」
「まさか~!高すぎでしょ?」
笹美と昴が、笑いながら話す。

「………」
「杏子ちゃん?」
「え?」
「てか、昴と笹美!お前等、俺等もいんだからさ!ラブラブしすぎ!」
「別にいいじゃん!笹美、チューでもする?
新年一発目の!!」
「は…///!?」

「フフッ…!!」
笹美と昴の会話に、杏子が噴き出した。
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