若頭、今日もお嬢を溺愛する
大学生活
新年度が始まり、杏子は大学生になった━━━━━
入学式終わり、今日から大学生活が始まる。

「んん…」
朝起きると、いつものように雷十が肘枕で見つめていた。
「おはようございます、杏ちゃん」
「おはよ…眠い……」
「じゃあ、サボりましょう!講義」
「は?」
「そうすれば、今日も杏ちゃんと離れずにいられる!
てことで、ラブラブしましょ?」
そう言って、杏子を組み敷いた雷十。

「は?ダメだろ!起きるから、退いて!
初日からサボるなんて、聞いたことないよ!」
雷十を押し返す。

「………わかりました」

着替えてダイニングに向かうと、文悟と大悟がいた。
「おはよう、杏子、雷十」
「おはよ、杏、雷十」
「おはよーおじぃ様、パパ」
「おはよう、オヤジ、大悟」

「おはようございます、お嬢、若」
浅井も挨拶してきた。
「浅井さん、おはよ」
「おはよ」
「若、ちょっとよろしいですか?」
「ん。
杏ちゃん、ちょっと席を外しますね!」
浅井を連れて、リビングを出ていく。

「若の言われた通りに、手配しておきました」
「ん。ご苦労様」
意味深に微笑む、雷十。
「………」
「何だ?」
「お嬢に、怒られるのでは?」
「怒るだろうな」
「では、何故?」

「それ、今さら聞く?」

「フッ…!!お嬢を、大切にしてあげてください。
オヤジと大悟様の、宝物なんですから」

「当たり前!!」

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「杏ちゃん、何かあったらすぐに連絡してくださいね」
行きの車内で、杏子の頬を包み込んで言い聞かせる雷十。
「わかった。
てか!何もないと思うよ?
普通に大学に行くだけだし」
「あーあ、俺が杏ちゃんと同級生だったらなぁ…絶対、放れないのに!自分が恨めしいです……」
杏子の額に、額をくっつけて呟く。

「しょうがないでしょ?」
「はい」
「とにかく、行ってくる!」

「杏ちゃん、キスしましょう!」
「は?さっきしたでしょ?」
「もう一回、したいです!」
「ダメ!!」
「………わかりました」

「じゃね!雷十!」
車を降り、杏子が雷十に小さく手を振って中に入っていく。
雷十は杏子が見えなくなるまで、見つめていた。
そして、キッと目付きが鋭くなった。
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