若頭、今日もお嬢を溺愛する
「あ?なんだよ、お前」

??「お前?初対面の人間に、随分な言い方だな!」
木の影から男が、眠そうに出てきた。

杏子「え?夏輝?」
夏輝「んぁ?
━━━━━━!!!?杏子!?
杏子だ!俺の雛!!」

あっという間に夏輝がかけてきて、杏子は抱き締められた。

杏子「ちょっ…離せ!!」
夏輝「やだぁー!俺の雛ー!」
杏子「だから、キモいんだよ!?」
夏輝「キモくて結構!!
杏子が手に入るなら、いくらでもキモくなるー!」

笹美「夏輝、やめなよ…ほんと、キモいよ!」

夏輝「あ?笹美、いたの?」

杏子に話しかけていたのと一転し、冷たく引き離すように笹美に言う、夏輝。

笹美「いたわよ!あんた…杏子しか見えてないなんて、病院行った方がいいんじゃないのー」
夏輝「あ?うるせぇよ!
昴の女じゃなかったら、とっくにヤってたな!」
笹美「は?」
杏子「ちょっと!!夏輝!!」

夏輝「ん?なぁに?可愛い~可愛いなぁ、雛」
ニコッと笑って、愛おしそうに頬を撫でる夏輝。

杏子「笹美を凄むな、傷つけるなって言ったよね?」
夏輝「だってぇー、俺の雛を取るんだもん!」
杏子「つーか、離せ!!」

「な、夏輝って……まさか、美山(みやま) 夏輝?」
「ヤバくね?」
「“あの”SIKI組の?」
「まさか…な…」

夏輝「そのまさかだけど?
えーとぉ、俺の雛に手を出そうとした不届き者は、ダーレだ!」

「す、すんません!!」
「俺達、知らなくて……!」

夏輝「誰かが言ってたな。
“知らない”って感情は、罪だって。
お前等は、今からその“知らない”によって地獄を見るんだよ?」

夏輝は三人の男を、ほんの数十秒でぼこぼこにひれ伏したのだった。


大悟「夏輝だ」
夏輝「大オジだ!久しぶり!」
大悟「元気そうだな!」
夏輝「大オジこそ!四人で旅行?」

大悟「ほんとは杏が女の子三人で行きたいって行ったんだけど、心配だからねー
無理矢理ついてきたんだよ!
雷十は仕事だから」

夏輝「雷オジいないの?」

大悟「うん」
夏輝「マジで!!?じゃあ、杏子!俺の部屋に来てー!」
雷十がいないと聞いて、嬉しそうに杏子に抱きつく夏輝。

杏子「は?行かないよ!私は、笹美と真弓と来てんの!!あ!そうだ!忘れてた!」
夏輝「何ー?」
杏子「夏輝、今度でいいから、真弓に愛生を紹介して?」

夏輝「愛生?
だったら、尚更部屋おいで?」
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