若頭、今日もお嬢を溺愛する
大悟「ほんとは、仕事終わってないんだろ?」

今、杏子は笹美と真弓の三人で露天風呂に入っている。
雷十と大悟は、部屋のソファに座り煙草を吸っていた。

雷十「まぁな。でも、最低限は終わらせてる」
大悟「そっか」
雷十「夏輝に、煽られた」
大悟「夏輝に?」
雷十「あいつは、きっと……俺から杏ちゃんを奪うことはしない。
でも……あいつなら、簡単に杏ちゃんを奪うことができる」

大悟「フフ…似てるもんな、雷十と夏輝」

雷十「全、然!!嬉しくねぇよ!!」



帰りの電車内━━━━━━━

一睡もしていない、杏子。
雷十の肩に頭を乗せ、眠ってしまう。

雷十「可愛い~」
大悟「可愛いな!」
笹美「可愛すぎでしょ!」
真弓「綺麗な寝顔…!」

夏輝「可愛いぃーー!」
敬介「ヤバいな、この可愛さ」
愛生「雷オジは、いいなぁ~」
冬玄「雛を独り占め、羨ましい!」

雷十「てか!何故に、SIKIがいる!!」
雷十が鋭く、夏輝達を睨んだ。

夏輝「いいじゃん!てか!大オジはさ、いいの?」

大悟「何?」
夏輝「大事な娘を、こんなヤクザなんかに取られるのだよ」
大悟「それは、杏が決めることだろ?」
夏輝「わかってるよ。それに、雷オジもだよ!」
雷十「あ?」


夏輝「雷オジの本当の好きな女は、杏子じゃなくて亜子ちゃんだろ?」


雷十「は?」
夏輝の言葉に、雷十の目が大きく開かれる。


夏輝「雷オジは、亜子ちゃんと杏子を重ねてんじゃないの?」
大悟「夏輝、やめろ!」


夏輝「久しぶりに杏子に会って、ビックリした!
亜子ちゃんにそっくりじゃん!!」

雷十「……うるさい…」

夏輝「ビックリだよ。
顔、雰囲気、声まで……そっくり!」

雷十「……黙れよ」

夏輝「まるで、生き写しじゃん?」



大悟「もう、やめてくれ!」


夏輝の言葉が、やけに電車内に響いていた━━━━━


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