若頭、今日もお嬢を溺愛する
雷十の初恋
亜子は━━━━━雷十の初恋だった。
出逢いは亜子が中一の時。
雷十が街でナンパされている亜子を助けたのが始まりだ。
それまで、雷十の大切な人は母親と文悟、義兄弟の大悟だけだった。
“雷悟”の総長として喧嘩三昧の毎日。
三人以外には興味すらなく、三人以外の人間の為に尽力するなんてあり得なかった。
そんな雷十にとって、恋愛なんて皆無だ。
あの時亜子を助けたのも、むしゃくしゃしていて誰でもいいから殴りたかったからだ。
その日を境に、亜子が雷悟にほぼ毎日通うようになった。
どんなに邪険にしても亜子は通い続け、手料理や怪我をした仲間の手当てなどをおこなっていた。
亜子の綺麗な心が、雷悟の光のようになっていた。
そして雷十自身も、亜子に今まで感じたことのない感情を抱くようになっていた。
そんなある日、亜子が雷十に言ってきたのだ。
「大悟くん、恋人いるのかな?」
(は?大悟?
なんで、大悟?)
「素敵よね!頭が良くて、物腰柔らかくて、仲間思いで…………」
「亜子は、大悟に惚れてんの?」
「え/////!?
誰にも言わないでよ!」
「大悟、好きな女いるよ」
「え━━━?」
「恋人はいねぇけど、思い続けてる女がいる」
「そう…なん…だ…
だからか……」
「何が?」
「“俺達に関わらないで”って言われたの」
「そう…」
亜子の綺麗な目から、涙が溢れてくる。
無意識に、雷十は亜子を抱き締めていた。
「俺がいる」
「え……雷十…く……」
「俺がいるよ」
そして、雷十と亜子は付き合いだしたのだ。
でも━━━━━━━━
全ては、嘘の塊なのだ。
大悟に思い続けている女なんていない。
大悟が“俺達に関わらないで”と言ったのは、大悟が鶴来組を潰すことで、亜子に迷惑や危害が加わらないようにしたかったから。
雷十は、初めて大悟に嫉妬しあんな嘘をついたのだ。
その嘘もすぐにバレてしまい、亜子は大悟の元へ行ってしまう。
あっという間に、杏子を妊娠した亜子。
雷十の初恋は、嘘で固められた……苦くて、残酷なモノだった。
そして、亜子が高校卒業して一ヶ月経った“あの日”
杏子が三歳になって子育てが落ち着いて、大悟が本格的に組の潰す計画を実行にうつそうとしていた、あの日。
高校の仲の良い卒業生みんなで、日帰りの旅行に行っていた亜子。
旅行先で、命を落とすことになる。
出逢いは亜子が中一の時。
雷十が街でナンパされている亜子を助けたのが始まりだ。
それまで、雷十の大切な人は母親と文悟、義兄弟の大悟だけだった。
“雷悟”の総長として喧嘩三昧の毎日。
三人以外には興味すらなく、三人以外の人間の為に尽力するなんてあり得なかった。
そんな雷十にとって、恋愛なんて皆無だ。
あの時亜子を助けたのも、むしゃくしゃしていて誰でもいいから殴りたかったからだ。
その日を境に、亜子が雷悟にほぼ毎日通うようになった。
どんなに邪険にしても亜子は通い続け、手料理や怪我をした仲間の手当てなどをおこなっていた。
亜子の綺麗な心が、雷悟の光のようになっていた。
そして雷十自身も、亜子に今まで感じたことのない感情を抱くようになっていた。
そんなある日、亜子が雷十に言ってきたのだ。
「大悟くん、恋人いるのかな?」
(は?大悟?
なんで、大悟?)
「素敵よね!頭が良くて、物腰柔らかくて、仲間思いで…………」
「亜子は、大悟に惚れてんの?」
「え/////!?
誰にも言わないでよ!」
「大悟、好きな女いるよ」
「え━━━?」
「恋人はいねぇけど、思い続けてる女がいる」
「そう…なん…だ…
だからか……」
「何が?」
「“俺達に関わらないで”って言われたの」
「そう…」
亜子の綺麗な目から、涙が溢れてくる。
無意識に、雷十は亜子を抱き締めていた。
「俺がいる」
「え……雷十…く……」
「俺がいるよ」
そして、雷十と亜子は付き合いだしたのだ。
でも━━━━━━━━
全ては、嘘の塊なのだ。
大悟に思い続けている女なんていない。
大悟が“俺達に関わらないで”と言ったのは、大悟が鶴来組を潰すことで、亜子に迷惑や危害が加わらないようにしたかったから。
雷十は、初めて大悟に嫉妬しあんな嘘をついたのだ。
その嘘もすぐにバレてしまい、亜子は大悟の元へ行ってしまう。
あっという間に、杏子を妊娠した亜子。
雷十の初恋は、嘘で固められた……苦くて、残酷なモノだった。
そして、亜子が高校卒業して一ヶ月経った“あの日”
杏子が三歳になって子育てが落ち着いて、大悟が本格的に組の潰す計画を実行にうつそうとしていた、あの日。
高校の仲の良い卒業生みんなで、日帰りの旅行に行っていた亜子。
旅行先で、命を落とすことになる。