若頭、今日もお嬢を溺愛する
その日亜子達は、高台にある景色が綺麗だと言う公園に向かっていた。

気温も低く高台にある為、少し空気が薄かった。

突然亜子は、少し胸に息苦しさを感じる。
次第に動悸がしてきて、あっという間に過呼吸になったのだ。

しかし……しばらくベンチで休むと落ち着いた為、そのまま亜子をベンチに放置して、友達達は景色を楽しんでいた。

「亜子、景色綺麗だよー
亜子もこっち━━━━━━━亜子!!!?」


亜子はそのまま、亡くなった━━━━━


「喘息の発作による、窒息です。
どうして発作が起きた時に、病院に連れてこなかったんですか!?」

「それは………ベンチで休んだら落ち着いたのもあって、亜子が大丈夫って言ったから」



「私達、知らなくて━━━━━━」




知らなくて━━━━━━
知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて、知らなくて…………………


雷十と大悟の頭に、こだまする“知らなくて”という言葉。

愛する人が“知らない”に殺された。

わかっている。
誰も悪くない。


きっと……亜子自身も、喘息の発作だと“知らなかった”のだと思う。


それでもぶつけようのない怒りを、どうしても処理ができない。


「雷十、ごめん」
「大悟?」

「俺は、約束を守れない」

「大悟?どうした?」


「今から俺は、あいつ等を殺しに行く」



そして大悟は、その亜子の友達達を組の力を使って抹殺したのだ。




「雷十、俺………」

「大悟、大丈夫だ!大丈夫……
あとは、俺が処理する。お前も、杏ちゃんも、俺が守る!」



組を潰す計画は白紙に終わり、雷十は亜子の代わりに杏子を一生守る決意をしたのだ。






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