不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
守りたい
「なぁなぁ、研究室に配属された新入社員の子」
「見た見た! めちゃくちゃ清楚な感じのお嬢様っぽい子」
「かわいかったなぁ……今度研究室と飲み会とかセッティング出来ないかなぁ」
入社式が終わり、新入社員が続々と配属先へと流れていく。
その中で話題となるのは、やはりかわいい新入社員の話だった。
波斗は出向先での一年間の勤務を終え、四月からまた本社へと戻ってきたばかりだった。
今年はずいぶんとかわいい子が入ったんだなぁ。休憩室での同僚たちの話をぼんやりと聞いていると、話が突然波斗へ飛んでくる。
「そういえば、上野もT大だったよな。その子もT大らしいぞ」
「へぇ。知り合いかなぁ? でも大学も広いからなぁ」
「名前なんていったっけ?」
「目黒紗世ちゃんだよ! 名前もなんか清楚だよなぁ」
波斗は時間が止まったかのように動けなくなる。
まさか……紗世ちゃんが? でも同姓同名かもしれないし……。
動揺を隠せずにいると、誰かの声がする。
「おっ、目黒さんみっけ! 白衣もかわいいなぁ」
窓から下を覗くと、研究室所属の社員たちが並んでロビーを歩いていた。その中にひときわ人目を引く女性がいる。
波斗は驚き口を押さえる。
「紗世ちゃんだ……」
二年ぶりに見た彼女は、あの頃よりグッと大人っぽくなっている。長い黒髪を一つにまとめ、ワンピースは相変わらずだが、きれいになっていた。
「やっぱり知り合い⁈」
「いいなぁ。今度紹介してくれよ〜」
「でも俺も二年ぶりに会うし……」
「いやいや、お前なら大丈夫だろ」
しかし波斗に同僚の声は届かなかった。波斗は紗世からは目が離せなくなっていたから。
あの頃の楽しくも切ない日々が蘇り、胸が苦しくなった。
「見た見た! めちゃくちゃ清楚な感じのお嬢様っぽい子」
「かわいかったなぁ……今度研究室と飲み会とかセッティング出来ないかなぁ」
入社式が終わり、新入社員が続々と配属先へと流れていく。
その中で話題となるのは、やはりかわいい新入社員の話だった。
波斗は出向先での一年間の勤務を終え、四月からまた本社へと戻ってきたばかりだった。
今年はずいぶんとかわいい子が入ったんだなぁ。休憩室での同僚たちの話をぼんやりと聞いていると、話が突然波斗へ飛んでくる。
「そういえば、上野もT大だったよな。その子もT大らしいぞ」
「へぇ。知り合いかなぁ? でも大学も広いからなぁ」
「名前なんていったっけ?」
「目黒紗世ちゃんだよ! 名前もなんか清楚だよなぁ」
波斗は時間が止まったかのように動けなくなる。
まさか……紗世ちゃんが? でも同姓同名かもしれないし……。
動揺を隠せずにいると、誰かの声がする。
「おっ、目黒さんみっけ! 白衣もかわいいなぁ」
窓から下を覗くと、研究室所属の社員たちが並んでロビーを歩いていた。その中にひときわ人目を引く女性がいる。
波斗は驚き口を押さえる。
「紗世ちゃんだ……」
二年ぶりに見た彼女は、あの頃よりグッと大人っぽくなっている。長い黒髪を一つにまとめ、ワンピースは相変わらずだが、きれいになっていた。
「やっぱり知り合い⁈」
「いいなぁ。今度紹介してくれよ〜」
「でも俺も二年ぶりに会うし……」
「いやいや、お前なら大丈夫だろ」
しかし波斗に同僚の声は届かなかった。波斗は紗世からは目が離せなくなっていたから。
あの頃の楽しくも切ない日々が蘇り、胸が苦しくなった。