不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
波斗は息を切らしながらベッドに座ると、紗世の体を抱き寄せ自分の上に座らせる。
この体勢って……紗世はふふっと笑う。
「あの日、こうやって星を見たよね……」
「うん……紗世ちゃん、窓まで開けるからびっくりしたよ」
「きれいだったなぁ……私あの日の星空が頭から離れたことはなかった。すごく素敵な思い出なの……」
繋がったままおしゃべりをすると、なんでも素直に話してしまいそうだった。
「紗世ちゃん……俺とするの嫌じゃない? なんか利用してる感じがしちゃうんだよ」
「……同じことを三年前に私も言ったよね」
「そうだっけ?」
「そうしたら先輩、嫌だったら三回もしないって言ってくれたの。今ならわかるな……嫌だったら三回もしないよ?」
「……今四回目だけど……」
二人して笑うと、急な体勢の変化に紗世の体が崩れ落ちそうになる。
「正直わからなくなってるんだ……。健のことはショックだったのに、また紗世ちゃんと抱き合えたことが幸せで……。考えがぐちゃぐちゃでさ、自分の気持ちがわからなくなってる」
「……昨日健先輩に失恋して、すごく辛かったんだよね?」
「うん」
「今は?」
紗世の問いかけに、波斗はしばらく考えてから首を横に振る。
「案外平気みたい。でもこうして熱に浮かされてるからかなぁ」
「まぁそれもあるかもしれないけど、先輩が少しでも癒されてくれたのならそれでいいのよ……」
紗世は波斗に口づける。
「体の関係って不思議だよね……。それまでただのサークルの先輩だったのに、グッと距離が近くなった気がした。いつの間にか目で追って、体の感触を思い出して……もっともっと欲しくなって……」
私が言いたいこと、わかる? 伝わる? 紗世も熱に浮かされて、気持ちが抑えられなかった。
波斗は紗世の言葉に心臓が早く打ち始めていることに気付く。
「ねぇ紗世ちゃん……それって……? 俺としたかったってこと?」
紗世は波斗の首に腕を回し、キスをする。
「癪だから言わない」
むしろいつか言わせてやるんだから。
紗世は意識が飛ぶ前にそう決意するのだった。