不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
波斗は嬉しい気持ちと、困惑した気持ちが入り混じった不思議な感覚に包まれていた。
紗世がシャワーを浴びている間、彼女のベッドに寝転んで考えていた。
さっきのあの言葉って……。いろいろな捉え方が出来るから、どれが正解なのかわからなかった。
俺を好き? 体が好き? ただしたいだけ? 考えれば考えるほどモヤモヤしてくる。
じゃあ俺は? 三年前のあの日、紗世ちゃんのキス顔を不覚にもかわいいと思ってしまい、感情のコントロールが効かなくなった。
そう、かわいいんだよ。だから抑えが効かなくなる。
ただこのかわいいという感情と、彼女を抱きたいという想いに、好きが伴っているかと聞かれるとわからなかった。
でもこんな気持ちになるのは紗世ちゃんしかいない。だからこそ、あの日以降そういうことをしていないのだ。
もう健のことは諦めると決めた。俺だって前に進まないと。そのためには紗世ちゃんへの気持ちの正体を掴みたい。
どうしたらいいのかな……。紗世ちゃんのこと、そして自分のことをもっと知る方法。
その時紗世がバスルームから出てくる。昨日とは違うスウェットのワンピースだった。
今日は水色なんだ……湯上がりの紗世が色っぽくてドキドキした。
「お待たせしちゃってごめんね! 先輩もシャワー使って。その間にご飯作るから」
紗世ちゃん、お嬢様と言われてるけど、こういう家庭的な所もあるんだ。そのギャップに興奮する。
「ねぇ紗世ちゃん」
「うん?」
「俺と一緒に暮らさない?」
波斗は頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出してしまった。