不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
紗世は驚いて固まる。その反応を見て、自分がとんでもないことを口走ったことに気付く。
「あっ、いやっ、違うんだ! まだ完全に健のことを吹っ切れたわけじゃないし、寂しい時に紗世ちゃんがそばにいてくれたら嬉しいなって思って……」
一生懸命言い訳をこねるが、自分でも意味がわからなくなっていく。
紗世は波斗の隣に座ると、真剣な眼差しで波斗の目を見つめた。
「本気で言ってる?」
「えっ……」
「もし先輩が本気で言ってるんだったら、一緒に暮らしてもいいよ」
「……本当に?」
紗世は頷く。
「で、本気なの?」
紗世に言われ、波斗はベッドの上で正座になる。
「ほ、本気です!」
すると紗世は同じようにベッドに正座になる。
「じゃあ、一緒に暮らしましょう。その代わり……」
紗世は波斗の頬に触れると、悪戯っぽく笑う。
「覚悟してね」
普段の紗世とのギャップに波斗はドキドキする。何を覚悟するんだ?
「あっ、そうだ! 紗世ちゃんに謝らないといけないことがあって……。昨日お店を出る時に、紗世ちゃんが俺に会いたがってるって嘘ついちゃったんだ。一応大和君には口止めしたんだけど……」
「別にいいよ。それでスムーズに帰れたのならいいんじゃない?」
「怒ってないの?」
「なんで怒るの?」
「……ううん、なんでもない」
なんで紗世ちゃんのそばはこんなに居心地がいいのかな。波斗はつい笑顔が漏れる。
そうして二人の同居が始まるのだった。