不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
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研究室では来年の夏に向けて、期間限定のレトルトカレーの制作が始まっていた。
企画部と連携して進めているため、いつも以上に会議の回数も増えていく。
カレーオタクの紗世としては、仕事とはいえカレーに携われるのは至福の時間だった。
企画部から提案された物に対し、紗世の上司はテキパキと回答していく。私もいつかあんな風になれるだろうか。
波斗を追いかけて入社したが、仕事にもやりがいを感じていた。
そしてこの研究室の雰囲気もとても良かった。女性が多いのだが、半数以上が出産後に復帰しているため、それぞれの環境に合わせて仕事をしていた。
「目黒さん、私今日子どものお迎えが早くて早退するから、あっちの補佐に回ってくれる?」
「わかりました」
そのため、いろいろな仕事に触れ、覚えも早くなっていく。
「そういえば企画部の人から、良かったら飲み会開きませんかって言われた」
「私も言われた〜。目黒さんとお近付きになりたいらしいよ。断っておいたけど」
「そうですか……なんかすみません」
「お酒飲めないんじゃ行ってもつまらないしね」
お酒は飲めるが、飲めないという事にしていた。飲み会が面倒くさいというのもある。しかし研究室は本社とは違い独立した場所であるため、元々飲み会に参加することはなかったのだが、紗世が配属されてから誘いが増えた。
「私はカレーの研究をするために入社してますからね。飲み会に行くためじゃないです」
「出た、真面目女子」
それに波斗が飲み会じゃない日は、なるべく一緒にいたいと思うのは当然のことだった。
ただ紗世には引っかかることがあった。あれからも波斗に求められて、何度も体の関係を持っているが、その行動の意味がわからなくなってきていた。
慰めてほしいって言っていたけど、最近は本能のまま始まることの方が多い気がしていたのだ。
もう吹っ切れてるの? 私自身を求めてくれているなら、そんな嬉しいことはない。
セックスしたいから私をそばに置いてるわけじゃないよね? 私はそんな軽い女になりたいわけじゃないのに。
波斗の一番近くにいられるのは嬉しいのに、どんどん欲張りになっていく。