不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
* * * *

 あっという間の昼食となってしまい、食べた気がしなかった。

 女性からの当たりは強くなってしまうけど、やっぱり先輩とおしゃべりしながら食べるご飯の方が美味しく感じる。

 コーヒーでも買おうかと、社外のコンビニに行こうとすると、また別の女性に声をかけられる。

「目黒さん? あぁやっぱり。今日上野さんいないからお一人だったんですか?」

 髪をかわいくまとめ上げ、淡いピンク色の服を合わせて、まさに女の子という感じ。波斗と同じ営業部の関根だった。

 あぁ、またか。波斗本人がいないから、みんなして牽制しに来る。

「こんにちは」

 紗世は再び当たり障りのない笑顔を向ける。

「今年の研究室に入った新卒って、確か目黒さんだけでしたもんね」

 先輩がいなければ一人ですね〜とでも言いたいの? 研究室の人たちはみんなお弁当持ちだから、一人で食堂で食べたらいけないの?

「そういえば上野さん、今日直帰って書いてあったなぁ。明日会えるといいですね。では失礼します」

 はっ? 何が言いたかったの? あなたより私の方が知っているとでも言いたかった?

 今日はいつも以上に気に障る。

 その時波斗から呑気なメッセージが届いたから、紗世は更にイライラが増す事になる。

『お疲れ様〜! お昼寂しかった? 明日は一緒に食べようね。ちなみに今日は飲み会になっちゃったので、先に寝ててね〜』

 まぁ、これが先輩だしね。ため息をつきつつ、つい顔が緩んでしまう。
 
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