不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
大切な人
波斗は紗世にメッセージを送った後、少し後ろめたい気持ちになった。別に嘘をついたわけじゃない。でも真実をきちんと伝えたわけでもなかったのだ。
外回りを終え、会社には戻らず駅に向かった。電車に乗って、繁華街の駅で降りる。
指定した居酒屋に行くと、半個室の掘り炬燵の席に健は既に座って待っていた。
「なんで健っていつもそんなに早いわけ?」
おつまみとビールを注文し、健は一人で飲み始めていた。
「まぁ程よく手を抜いてるから?」
「なるほどね」
波斗はレモンサワーを頼み、健の向かいの席に座った。
「で、お前から誘ってくるってことは何かあるんだろ?」
「うん、まぁね」
「わかった、紗世ちゃんのことだろ?」
あの日にあんな帰り方をしてるんだから、そう考えてしまうのも仕方ない。
波斗は苦笑いをする。
「まぁ半分正解」
「マジか。ってかいつから付き合ってんの? まったく知らなかったんだけど」
波斗はしばらく黙った。
「本当はさ、付き合ってないんだ」
「えっ、そうなの⁈」
「うん……今日はさ、健に全部話そうと思って来たんだ……」
健が結婚する時に気持ちを切り替えようとしたのに、それが出来なかった。健が好きだと思うことが日常になっていて、紗世への想いを認められずにいた。
外回りを終え、会社には戻らず駅に向かった。電車に乗って、繁華街の駅で降りる。
指定した居酒屋に行くと、半個室の掘り炬燵の席に健は既に座って待っていた。
「なんで健っていつもそんなに早いわけ?」
おつまみとビールを注文し、健は一人で飲み始めていた。
「まぁ程よく手を抜いてるから?」
「なるほどね」
波斗はレモンサワーを頼み、健の向かいの席に座った。
「で、お前から誘ってくるってことは何かあるんだろ?」
「うん、まぁね」
「わかった、紗世ちゃんのことだろ?」
あの日にあんな帰り方をしてるんだから、そう考えてしまうのも仕方ない。
波斗は苦笑いをする。
「まぁ半分正解」
「マジか。ってかいつから付き合ってんの? まったく知らなかったんだけど」
波斗はしばらく黙った。
「本当はさ、付き合ってないんだ」
「えっ、そうなの⁈」
「うん……今日はさ、健に全部話そうと思って来たんだ……」
健が結婚する時に気持ちを切り替えようとしたのに、それが出来なかった。健が好きだと思うことが日常になっていて、紗世への想いを認められずにいた。