不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
紗世が大事なのはわかってる。でも健への好きと違っていて、これが恋なのかわからなかった。
ならいっそのこと、正直に話して振られた方が良い気がしたのだ。
「えっ、じゃあ紗世ちゃんとはどういう関係なの?」
健は混乱したのか、複雑そうな顔をしている。
「俺さ、実は高校の時から健が好きだった」
健は驚きで目を見開き、困ったように視線がウロウロと宙を舞う。
「お、俺?」
「そう。でも無理なのはわかっていたから、友達でいようって思ったんだ」
懐かしいな。健のことを目で追った日々、隣にいることでドキドキした。
「お前に彼女が出来るたび、結構ショック受けてたの、お前知らないだろ?」
そう。あの日もお前がずっと彼女と一緒にいるから、友達のポジションすら辛くなったんだ。
「俺たちが大学四年の時の合宿の時にさ、紗世ちゃんもちょうど辛い出来事があって、お互いを慰め合うように体の関係を持ったんだ」
「そんな前に……?」
「学生時代はそれっきり。付き合ってないから。たださ、あの日を境に紗世ちゃんのそばが居心地良くて、つい構いたくなっちゃうんだよね。女子に囲まれて困っていたりすると、つい紗世ちゃんを探してた。だって紗世ちゃんなら無条件で俺を受け入れてくれる気がしたから。セックスしたからって、ちょっと調子に乗っていたのかもしれないけど」
いつも静かに俺を受け止めてくれていた。
「でも何もないまま卒業して、健への気持ちも変わらないし、俺は一生このままなんだって思っていたら……」
「紗世ちゃんが現れたのか」
波斗は頷いた。
「嬉しくてさ、毎日ランチに誘って、たくさん話して……変わってないんだよ、あの頃と。健からメールが来た時、とうとう俺の恋も終わりなんだって思った。案の定結婚の報告で、本当はあの場にいるのがすごく辛かった」
「なんか……ごめん。でもあの時紗世ちゃんから電話来たよな。あれって偶然だったのか?」
「タイミング良かったよね。まぁ偶然というか……俺を心配してくれたんだ。辛かったらおいでって言ってくれてさ。だから紗世ちゃんのところに逃げた」
本当はドアの前で迷ったんだ。でも紗世ちゃんは笑顔で俺を迎えてくれた。
「俺が泣く間、黙って抱きしめてくれてさ、またセックスした」
健は頭を掻きむしる。あまりの出来事の多さに頭がついていけなくなっていた。