不毛な恋模様〜傷付いた二人は、輝く夜空の下にて熱く結ばれる〜
「ねぇ、私ってなんなの? 先輩だから後輩を気遣うの? 同居人だから心配? 先輩、もう慰める必要ないくらい元気じゃない。最近私、なんのためにここにいるのかわからなくなってるよ……」
紗世は波斗を床に押し倒し、キスをする。息が出来ないくらい、唇を押し付ける。
波斗は驚いた顔で紗世見つめる。こんなに近くにいるのに、私たちの想いは同じ方向を向かないの?
愛しいからこそ悲しい。理解されないから怒りが込み上げる。
「先輩に教えてあげる。私がここにいる理由。私がここにいるのはね、先輩を慰めるためなんかじゃない。先輩を振り向かせるため、私のことを好きにさせて、私のものにするため」
波斗は目を見開く。
「意味わかる? はっきり言うからよく聞いて」
紗世は訳もわからず涙が出てくるのを抑えられなくなる。
「先輩が好き。大好き。愛してるの……」
波斗はそんな紗世が愛おしくて抱きしめようとした。しかしタイミングよくインターホンが鳴り、紗世が反射的に体を離したため手が届かなかった。