天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
ニューヨークから飛び立ち十三時間。
自動操縦から手動に切り替え操縦桿を操作する。
眼下に大きな空港が近づいてくるのが見えた。
『OJA281便。こちら管制タワー。滑走路34Rへの着陸を許可します』
耳に付けたヘッドセットから、女性管制官の声が聞こえてきた。
凛としているけれど、やわらかさもある声。
その聞き取りやすい管制指示を聞いて、すぐに声の主が里帆だとわかった。
さらさらの髪に白い肌。
わずかに茶色がかった瞳。
綺麗で透明感のある彼女の姿を思い出す。
『西の風4ノット。微風ですが滑走路付近で横風が吹いているので注意して着陸してください』
操縦するパイロットのことを考えた細やかな情報に頬が緩んだ。
『こちらOJA281便。横風に注意して滑走路34Rに着陸します』
操縦桿を握る俺の代わりに、隣に座る副操縦士が無線で答える。
徐々に高度を下げながら、滑走路の横に立つ管制タワーを見る。