天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~


 管制塔の一階にあるブリーフィンブルームで、始業前にその日の気象情報や連絡事項を確認する。

「今日は大きな天候の乱れはなさそうだけど、気圧が低いし渡り鳥が多い時期だから、バードストライクに気を付けるように」

 武地主幹の言葉に天気図を確認しながら「了解しました」とうなずいた。

 気圧が低いと虫は地上近くを飛ぶので、鳥も餌である虫を追い掛け低空を飛ぶ。

 その鳥をエンジンに巻き込み損傷すれば重大な事故につながる可能性があるし、滑走路上に鳥が落ちれば離着陸を止めて安全を確認しなければならない。

 巨大な飛行機に比べれば鳥はとても小さく見えるけれど、安全のためにはそんな細かいところまで注意を払わなければならないのだ。

「それから、再来週国交省の大臣が視察にくることになったから、みんなちゃんとした格好で仕事に来てくれよ」

 その言葉に、みんながいっせいに面倒くさそうな顔をした。

「えぇー。なにしに来るんですか」
< 155 / 238 >

この作品をシェア

pagetop