天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 富永さんの表情が見たことないくらい険しくなる。
 私は慌てて首を横に振った。

「違う違う! そもそも付き合っていないよ!」
「え、付き合っていないんですか? あのイケメンパイロットに口説かれたのに?」

 きょとんとした顔でたずねられ、私の方が驚く。

「ど、どうして口説かれたって知ってるの?」
「だって私、矢崎さんから蒼井さんの連絡先を教えてくれって頼み込まれましたもん。ちゃんと確認のメッセージ送りましたよね?」

 あぁ、そうだった……。と思い出す。

 搭乗訓練をきっかけで翔さんと再会したあと、パイロットとは付き合うつもりはないと彼の気持ちを拒み避けていた。

 けれど翔さんは諦めず、富永さんに私の連絡先を知りたいと頼み込んだらしいのだ。

 富永さんから『あんなイケメンのお願いを断ったら天罰が下って男運が悪くなりそうだから、連絡先を教えていいですよね?』とよくわからないメッセージが届いたことを思い出す。

< 159 / 238 >

この作品をシェア

pagetop