天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「ちなみに、蒼井さんがお人好しで絆されやすいのは知っているので、代わりに私たちが矢崎さんが信頼できる男なのかちゃんと見極めましたから」

 なんのことだろうと目を瞬かせると、富永さんが自慢げに胸を張った。

「管制室のみんなで集まって、矢崎さんに蒼井さんの連絡先を教えるべきか否か協議したんですよ」
「協議って……っ!」

 予想外の言葉に絶句する。
 恐る恐る周りを見回すと、同僚たちに生暖かい視線を向けられていることに気づいた。

「みんなで情報を出し合い検討したところ、矢崎さんのずば抜けた操縦技術や高い将来性、整った外見に見合わぬ意外と真面目な人柄、そしてこれまで女性関係の噂がなかったことなどが評価され、連絡先を教えてもいいという結論に至りました」

 富永さんは目をキラキラさせてそう言う。
 悪気の一切ない笑顔を見ていると頭が痛くなってきた。

「私のいないところで勝手になにをしてるのよ……」

 当事者である私を無視して、管制室のみんなで話し合う意味がわからない。

< 160 / 238 >

この作品をシェア

pagetop