天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 どうせみんな、私の恋愛事情をおもしろがっているんだろう。

 いつも同じメンバーで管制室に閉じこもる管制官たちは、刺激と話題に飢えている。
 そんな中、私の恋愛事情は恰好のネタだったんだろう。

 私が脱力してがっくりと肩を落とすと、富永さんが真面目な声で言った。

「だから、矢崎さんのことを信用して、素直になってもいいと思いますよ」

 その言葉に、胸の辺りがきゅっと痛くなった。
 身分証のストラップについた小さな鐘を握り、気持ちを切り替える。

「なに言ってるの。素直にもなにも、私はもう二度とパイロットとは付き合わないから。変な気を遣わないで」
「蒼井さん……」
「ほら。無駄話しないで、そろそろ管制室に上がろう。今日も気を引き締めて頑張らなきゃ」

 笑って歩き出した私を、富永さんは不満そうに見ていた。



 



 その日の業務を終えた私は、いつものように出発ロビーのベンチに座り、行きかう人をぼんやりと眺める。

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