天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
 胸が張り裂けそうなほど、この人が好きだ。
 心からそう思った。

「里帆」

 翔さんは抱き着く私をあやすように優しく髪をなで、名前を呼んでくれる。
 わずかに顔を上げると、翔さんが私を見つめていた。

「キスしたい」

 そうささやかれうなずくと、すくい上げるような短いキスをされた。
 唇を離し見つめ合う。

 照れくさくてはにかむと、翔さんは「もっと」と微笑みねだるような上目遣いでこちらを見る。

 今度は私からキスをする。
 触れるだけのキスをしようと思ったのに、大きな手で後頭部を包まれ唇の間を舌で割られた。

「ん……っ」

 逃がさないというように舌をからめとられ甘い吐息が漏れる。

 快感に理性が溶かされかけたとき、「ヒュー!」という口笛が聞こえた。
 驚いて肩が跳ねる。

 慌てて翔さんの肩を押し顔を上げると、消防活動を終えた隊員たちがこちらを見て拍手をしていた。
 それだけじゃなく、警備員や空港関係者たちが温かい視線を私たちに向けていた。

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