天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~



 空港ターミナルビルの出発ロビーで待っていると、こちらに近づいてくる靴音が聞こえた。
 振り返ると、里帆がこちらにやってくるのが見えた。

 さらさらの髪に白い肌。
 透明感のある茶色がかった瞳が、俺と目が合った瞬間、嬉しそうにほころぶ。
 その表情を見て愛おしさが込み上げてくる。

「すみません、遅くなって。待ちましたか?」

 里帆は急いで来てくれたようで、頬が紅潮していた。

 お互いの仕事が終わった後で待ち合わせをして一緒に帰ろうと話していたけれど、そんなに急がなくてもいいのにと小さく笑う。

「わざわざ急いで来たのか」

 きっと、お人好しな里帆のことだから、俺を待たせるのは申し訳ないと思って急いで来たんだろうな。
 そう思っていると、彼女が首を横に振った。

「早く翔さんに会いたかったので」

 はぁっと息を弾ませながら照れくさそうに微笑まれ、たまらない気持ちになった。

 俺の恋人が、かわいすぎるのだが。

 思わず額に手を当て、大きく息を吐き出した。

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