天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
翔さんはそう言いながら、私の体に触れる。それだけで気持ちよくて背筋が跳ねた。
朝の光が差し込むベッドの上で、じゃれ合うように何度もキスをする。
そのとき、遠くから鐘の音が聞こえた。
その美しい音色に思わず動きを止めて聞き入る。
「時刻を知らせる教会の鐘の音だな」
翔さんがそう教えてくれた。
美しいパリの街に響く、荘厳な鐘の音。
夢はここで終わり、目を覚ますときが来たと言われたような気がした。
「翔さん。私、帰ります」
はっきりとした口調で言うと、翔さんが私をじっと見つめる。
彼が私を引き留めたいと思っているのが伝わってきて、それだけで十分嬉しかった。
「わかった。じゃあ、日本に帰ったら連絡を……」
言いかけた彼の口元に指で触れ、言葉を遮った。
「お互いになにも知らないままでお別れしましょう」
私がそう言うと、翔さんの表情が曇る。
「里帆はもう俺に会う気はないのか?」