天才パイロットの激情は溢れ出したら止まらない~痺れるくらいに愛を刻んで~
「そうじゃないです」と首を横に振る。
今回の出会いはひとときの美しい夢みたいなものだ。
旅先での非日常が起こしてくれた奇跡だ。
夢がいつまでも続かないことも、日本に帰ればそれぞれの生活が待っていることも、ちゃんとわかってる。
連絡先を交換してしまったら、きっと私は彼のことを待ってしまう。
それにもし再会できたとしても、真面目でつまらない私に彼はすぐ飽きてしまうだろう。
「翔さんとの時間はとても幸せだったから、楽しいままで終わらせたいんです」
そう言うと、翔さんの長い腕が私の腰に回り引き寄せられる。
「何度も好きだと言っているのに、里帆は俺の言葉を信じていないんだな」
不満たっぷりの視線を向けられ、私は笑いながら首を横に振る。
「ベッドの中での言葉を真に受けるほど子供じゃないです」
「本当に里帆は臆病で意地っ張りだな」
「あきれました?」
「いや。そういうところもかわいくて仕方ない」