スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
紗雪が誘拐された際の連絡後、俺の方が先にホテルへたどり着いたのは梅本がうまくその監視を撒いたのだと言う。
どうやら梅本側も裏の世界に通じる人間を何人か雇っていたようだ。
ただ、ホテルの周辺を警察関係者がうろつき始めたところを見てさっさと逃げたみたいだ。だからこそ、俺は梅本ひとりを相手にするだけで済んだ。
「でも梅本だけが逮捕されるのは予想の範囲内でしたけど、まさかそのお父さんまで……」
「以前から色々と黒い噂が立ってた人だったからね。裏金や横領はもちろん、裏口入学にも関わってるらしい」
「裏口入学?」
俺は頷いた。
梅本の大学へと入学は実の所本人の実力ではなく、裏で多額の入学金を支払って特別に入学式させたとのことだった。
梅本の父親の黒い噂については元々警察関係者の耳に入ってはいたが、上層部がなかなか重い腰を上げなかったそう。その警察上層部も梅本の父親から多額の賄賂を受け取っていたのだから手に負えない。
熊沢の親父さんはその警察関係者と医療関係者の膿を全て取り除くとのことで、今回一斉検挙に出たそうだ。ちなみに警察上層部も何人か逮捕されており、今、日本中を騒がせている。
「梅本自身の逮捕の決め手になったのは……ボイスレコーダーだ。実は紗雪のいるホテルにたどり着いてからずっとポケットの中でONにしていたんだ。ホテルにたどり着く前に熊沢にそのことを伝えてあったから、勝手にポケットから持っていってくれたたみたいだ」
「そこまで用意周到だったんですね……でも驚きました。まさか熊沢さんが警察官の家系だなんて」
「今の話でそこ驚くか。……まあ確かにあのお調子者じゃあ実家はパン屋って言われたほうが似合いそうだ」
俺がそう言うと紗雪は「たしかに熊沢さんの性格からすると似合うかも」と笑った。
そうして話を続ける。
「元々梅本の被害者は多くいたんだ。学生時代から素行も悪くて明らかに裏組織の関係者ってやつとつるんでいたし、女関係ではよくいざこざ起こしていたし」
「他にも被害女性がいたんですね」
「うん。紗雪と同じ手口でホテルとかに連れこまれてそのまま。被害女性の訴えで示談になるケースもあったけど、基本的には訴えすら聞いてもらえず泣き寝入りになる人もいたみたいだ」
紗雪は眉を吊り上げる。
「本当に最低な人ですね! この人が捕まらなかったらこの後にも何人の人が被害にあってていたか……」
「ほんとそうだよね。捕まってくれてよかった。……俺としてはもちろん被害者たちは可哀想だけど、それよりも……紗雪に手を出そうとしたこと……万死に値するからさ」
「……?」
どうやら後半は声が小さくてよく聞こえなかったのか、紗雪が愛らしく首を傾げる。
そんな姿を見て、また愛おしさが募る。
どうやら梅本側も裏の世界に通じる人間を何人か雇っていたようだ。
ただ、ホテルの周辺を警察関係者がうろつき始めたところを見てさっさと逃げたみたいだ。だからこそ、俺は梅本ひとりを相手にするだけで済んだ。
「でも梅本だけが逮捕されるのは予想の範囲内でしたけど、まさかそのお父さんまで……」
「以前から色々と黒い噂が立ってた人だったからね。裏金や横領はもちろん、裏口入学にも関わってるらしい」
「裏口入学?」
俺は頷いた。
梅本の大学へと入学は実の所本人の実力ではなく、裏で多額の入学金を支払って特別に入学式させたとのことだった。
梅本の父親の黒い噂については元々警察関係者の耳に入ってはいたが、上層部がなかなか重い腰を上げなかったそう。その警察上層部も梅本の父親から多額の賄賂を受け取っていたのだから手に負えない。
熊沢の親父さんはその警察関係者と医療関係者の膿を全て取り除くとのことで、今回一斉検挙に出たそうだ。ちなみに警察上層部も何人か逮捕されており、今、日本中を騒がせている。
「梅本自身の逮捕の決め手になったのは……ボイスレコーダーだ。実は紗雪のいるホテルにたどり着いてからずっとポケットの中でONにしていたんだ。ホテルにたどり着く前に熊沢にそのことを伝えてあったから、勝手にポケットから持っていってくれたたみたいだ」
「そこまで用意周到だったんですね……でも驚きました。まさか熊沢さんが警察官の家系だなんて」
「今の話でそこ驚くか。……まあ確かにあのお調子者じゃあ実家はパン屋って言われたほうが似合いそうだ」
俺がそう言うと紗雪は「たしかに熊沢さんの性格からすると似合うかも」と笑った。
そうして話を続ける。
「元々梅本の被害者は多くいたんだ。学生時代から素行も悪くて明らかに裏組織の関係者ってやつとつるんでいたし、女関係ではよくいざこざ起こしていたし」
「他にも被害女性がいたんですね」
「うん。紗雪と同じ手口でホテルとかに連れこまれてそのまま。被害女性の訴えで示談になるケースもあったけど、基本的には訴えすら聞いてもらえず泣き寝入りになる人もいたみたいだ」
紗雪は眉を吊り上げる。
「本当に最低な人ですね! この人が捕まらなかったらこの後にも何人の人が被害にあってていたか……」
「ほんとそうだよね。捕まってくれてよかった。……俺としてはもちろん被害者たちは可哀想だけど、それよりも……紗雪に手を出そうとしたこと……万死に値するからさ」
「……?」
どうやら後半は声が小さくてよく聞こえなかったのか、紗雪が愛らしく首を傾げる。
そんな姿を見て、また愛おしさが募る。