スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
「紗雪が無事でよかった……本当に」

 俺は紗雪の手を取り、そのほっそりとした背中に手を回す。そして出来うる限りの愛を込めて抱きしめる。

「啓一郎さん……」

 紗雪は名前を呼び、ベッドに座っている俺の胸元に顔を埋めた。俺も紗雪の肩口に顔を寄せると甘い───石鹸の清潔な香りがした。

 俺たちは抱きしめあっていた腕を解き、顔を寄せて額をくっつける。
 そして唇を合わせた。

 紗雪のふわりとした口唇を味わうように何度も角度を変え、軽く食む。
 そしてそのまま口内に舌を入れようと────。

「……っ! これ以上はダメです!」

「どうして?」

「啓一郎は病人ですから! 体に負担になることはダメなんですから」

 頬を赤らめながら口を尖らせる紗雪はまた一段と可愛らしく、俺は愛おしさに目を細めた。

 紗雪は俺の天使で、俺の愛おしい妻。
 もう手の届かない存在などではないのだから、いつでも愛することが出来るのだ。
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