スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 でもその前に。

「……あ、あとでちゃんと教えますから。でも私、まだお風呂に入ってませんから少しだけお留守番しててくださいね」

 啓一郎さんの口調につられて少しだけ年上風に言葉を紡ぐ。
 だが啓一郎さんはその答えに納得していないのか肩をすくめた。

「お風呂なんてあとでいいよ。あとでどうせもう一回入ることになるんだし」

 啓一郎さんはそう言って私の手を離そうとしなかった。立ち上がりかけた私の腰を引き寄せ、そのまま自身はソファの上に仰向けになる。
 私は引き寄せられたと同時に啓一郎さんの上へと跨るような体勢となった。

「こ、こんなの恥ずかしいです……」

「紗雪センセイが教えてくれるんでしょ? ねぇ、恥ずかしがらないで」

「……~っもう! け、啓一郎さんのバカって!」

 羞恥で思わず啓一郎さんの胸元を軽く殴りつけると「ごめんごめん、悪ふざけが過ぎた」と言いながら笑う。
 楽しそうな啓一郎さんの様子に私も釣られて笑った。

「こういうのはまだ紗雪には早かったかな。また次回に期待するとして……今夜はいつも通りに優しくするから……抱かせて?」

 急激に糖度を帯びた啓一郎さんの言葉に私は首をコクリと振った。
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