スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 私が啓一郎さんの包帯を綺麗に巻き直すと、そのままソファへと押し倒された。先程までは私が上に乗っていたが、今はその反対でいつも通りに組み敷かれていた。

 ただいつもと異なるのは啓一郎さんの怪我と、そして彼の瞳の奥に垣間見える理性より本能を優先する熱の温度だった。

「ごめん紗雪。久しぶり過ぎて……今日はあんまり優しく出来ないかも」

「いいですよ……私ぜんぶ受け止めますから。本当の啓一郎さんを見せて」

 人目のある病院では蜜のような甘い時間を過ごすことができなかった。啓一郎さんも病院という自分の仕事現場では理性の方が勝ってしまうに違いない。

 けれど今夜は久しぶりの二人きりの夜。私たちはただお互いだけを求めて合うように唇を重ね合わせた。

「……っンンンんんんっ!」

 口腔内に啓一郎さんの分厚い下が這いずり回り、上手く呼吸が出来ない。上顎を舌先でくすぐられると甘い声が漏れ出す。

 互いの唾液を交換し、離れたくないと少しでも触れ合う面積が増えるようにねっとりと舌と舌を絡めあった。
 名残惜しそうに唇をゆっくり離すと目の前には熱い眼差しを向ける啓一郎さんがいた。

 次の瞬間には手首を押さえつけられ、首元に舌が這いずりまわる。啓一郎さんの手がふわりと胸に伸び、服の上から僅かな膨らみを包み込んだ。
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