スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 自宅に到着し、部屋着に着替えた私たちはそのままリビングのソファでのんびりしていた。
 昨日までにやるべき準備は全て整えてあり、残すところは本番だけだ。

「明日、本当に楽しみだ。紗雪の綺麗なウエディングドレス姿を見られるなんて、俺は幸せ者だね」

「私も楽しみです! 啓一郎さんは白色が似合うので一生分目に焼き付けておきます!」 

 互いに惚気合う私たちは他人から見ればよく言えばおしどり夫婦、悪く言えばバカ夫婦だろう。

 そう。
 明日は待ちに待った結婚式なのだ。
 気分がいつもに増して高揚するのは仕方がないことだ。

 結婚指輪を渡された新婚旅行のあと、啓一郎さんが会場を押さえてくれていたため年内に催すことができたのだ。
 夏にはウエディングドレスを選んだり、どんな披露宴にするか悩んだりとやることが目白押しだった。そのため今年の夏は忙しく動き回っていた思い出ばかりだ。

 あとは啓一郎さんの妹さんである春佳ちゃんのお墓参りにも行った。
 綺麗に整えられていた墓石や新鮮なお花から頻繁に人が訪れていることが伺えた。ちなみに啓一郎さんも海外にいたときから年に一度は日本へ帰国し、春佳ちゃんのお墓参りをしていたそうだ。

「明日も早いしそろそろ寝ようか」

 啓一郎さんの声に私は頷き、いつものダブルベッドへ潜り込む。
 私たちはお休みのキスをし、待ちに待った結婚式に備えて目を閉じた。
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