スパダリ医師の甘々な溺愛事情 〜新妻は蜜月に溶かされる〜
 目元に落ちたその一筋を、啓一郎さんは舌で掬い上げるように舐めとった。
 その感触にさえ全身が敏感になった私にとっては興奮を煽るもので。

 溶けきった身体はまるで自分のもののようではなかった。

 啓一郎さんは私のショーツに手を伸ばし、最後の一枚を取り除く。
 私はとうとう生まれたままの姿になってしまい、居た堪れない気持ちでいっぱいだった。
  
 啓一郎さんはうっとりとした瞳の奥に興奮を隠している。
 その瞳を見ているだけで私も自分の中から計り知れない何かが溢れてきそうで──。

「触るよ?」

 短くつぶやいた言葉にこくりと頷く。
 触れられたそこは水気を帯びているのか部屋の中にいやらしい音が響き渡る。

「濡れてるね。かわいい」

「いやっ、音立てないで!」

 欲望を指摘された私は身を捩るが、動かされ続ける啓一郎さんの手によって翻弄され続ける。
 一番気持ち良いところを入念に捏ねられ、私は頭を真っ白にさせた。

 喘ぎが部屋に反響する。

 がくりと力を失った私はぼんやりと啓一郎さんを見つめる。
 
「次はこっちを解さなきゃ」

 自分でも触れたことない箇所を解され、最初は違和感ばかりだったそこはいつしか快楽を生む機関へと変わっていく。

 十分な時間をかけてほぐし終えると衣擦れの音が聞こえ、啓一郎さんがスラックスや下着を脱いでいるのだと理解する。

 翻弄され続けた私の身体はふにゃふにゃになっており、起き上がる気力もなかった。

 入念に解されたそこに固いものが押し当てられ、私はこくりと唾を飲み込む。
 
「辛くないようにするから……愛してるよ、紗雪」

 啓一郎さんの額には汗が浮かんでおり、耐えるようなその表情を私は愛おしく思った。

「はい、私も愛しています」
 
 そう呟くとまるで啓一郎さんは無邪気な子どものような表情で笑った。


 ──そうして私たちは初めての夜を越したのだ。
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