Colorful
パレットに乗せられたたくさんの絵の具、使い込まれた筆、まだ真っ白な大きなキャンバス。
「見てて」
不思議そうな顔をする小さな女の子に、長い髪を結んだ女性はふわりと微笑んで言う。そして筆を手に取り、キャンバスに絵の具のついた筆を当てた。
真っ白で何もなかったキャンバスに、色鮮やかな物語が生まれていく。黄色の太陽が温かな光を放ち、淡い水色の空が広がっている。どこまでも広がる緑の草原と、草原を駆け回る動物たち。少女の心は一瞬で掴まれてしまう。
「お姉ちゃん!私、私もこんな風に絵を描きたい!」
「いいよ、教えてあげる」
七歳の時、白鳥若葉(しらとりわかば)は絵を描く楽しさに触れた。
それから九年、若葉は高校一年生になった。学校でも家でも暇さえあれば絵を描き、中学校でも高校でも美術部に所属し、毎日絵を描いている。だが……。
「うまく描けない……」
徹夜をしてまで出来上がった好きなアニメのキャラのイラストは、輪郭がはっきりせず、全体のバランスも悪い。紙をぐしゃりと丸め、悔しさから若葉は涙を流す。
「見てて」
不思議そうな顔をする小さな女の子に、長い髪を結んだ女性はふわりと微笑んで言う。そして筆を手に取り、キャンバスに絵の具のついた筆を当てた。
真っ白で何もなかったキャンバスに、色鮮やかな物語が生まれていく。黄色の太陽が温かな光を放ち、淡い水色の空が広がっている。どこまでも広がる緑の草原と、草原を駆け回る動物たち。少女の心は一瞬で掴まれてしまう。
「お姉ちゃん!私、私もこんな風に絵を描きたい!」
「いいよ、教えてあげる」
七歳の時、白鳥若葉(しらとりわかば)は絵を描く楽しさに触れた。
それから九年、若葉は高校一年生になった。学校でも家でも暇さえあれば絵を描き、中学校でも高校でも美術部に所属し、毎日絵を描いている。だが……。
「うまく描けない……」
徹夜をしてまで出来上がった好きなアニメのキャラのイラストは、輪郭がはっきりせず、全体のバランスも悪い。紙をぐしゃりと丸め、悔しさから若葉は涙を流す。
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