惚れたら最後。
あれから、SHR開始ギリギリでなんとか教室に滑り込んだ私たち。




「お前ら3人はほんと毎日遅刻ギリギリだな〜」





時計を確認しながら担任が言う。






「間に合ってるからセーフでーす」






んべっと舌を出す乃々を、麻鈴が引っ張って席につかせる。






それを横目で見ながら、わたしも自分の席についた。





ピコンッ




ホームルームが始まってすぐ。





担任の長い長い朝の話の序盤。





私の携帯にメッセージが入った。





『百合ちゃん、今日緊急でバイト入れないかな?』





バイト先の店長からだった。





どうやら今日来るはずの子が体調を崩してしまったらしくバイトに出向けないみたいだ。




断る理由もなかったので、すぐに了解のメッセージを送る。




すぐに、ほんとごめんね〜と返ってきたけれどそんなのお互い様だ。




私が行けない日は代わりに誰かが出てくれている訳だし。







『バイト入った?』






その様子を後ろの席から見ていたらしい麻鈴から3人のグループにメッセージが入る。




普段、それぞれのバイトや用事がない日は大抵放課後に3人で集まるのが鉄板だったりする。




だからこの担任の長い朝の話の最中はこうして3人でメッセージをやり取りするうってつけの時間なのだ。






『ごめん、代打です。』






そう言って返事をする。






すると、グッと親指を立てた奇妙なキャラクターのスタンプが乃々から送られてきた。





思わず、ぷッと吹き出す。






なんだこれ。





「ほら、そこ3人。携帯しまえ〜
先生話し中だぞ。」






おかげで担任にまた指摘を食らってしまった。



「まぁたお前ら、俺の目を盗んで、、 相原はまだしも雨宮と高瀬は真面目だと思ってたのに。」




そう言って担任は残念そうに天を仰ぐ仕草をする。





「うわっ、教師のくせに乃々だけ差別するとか最低だ〜」






そんな担任に乃々が突っかかる。






「相原〜、言われたくなかったらもっと真面目に生きろ〜?まず校則から守ろうな?しっかり」





そう言うけれど、乃々のピンク髪を指差す担任は結局なんだかんだ乃々のことがお気に入りなんだと思う。




だって…、その注意する時の顔、満更でもなさそうだから。




…どうなんですか、先生?






2人のやり取りを見ながら心の中でそんなことを思うのも毎日だ。

< 3 / 4 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop