この先もずっと、キミの隣で。
思ったよりも深く切れてしまった指を水道水で流していると、手首を掴まれた。


「なにしてんだよお前。見せろ」

「いいってば。ほっといてよ」

朝のこともあって素直に慣れない。というよりは、どう接していいのか分からなかった。


でも柳瀬は、掴んだ手首を離してくれない。

傷口をじっと見て、ポケットから取り出した自分のハンカチを指にきつく巻き、


「保健室行くぞ」

そう言って歩き出した。

多分、こういうところがあるから嫌いになれないんだ。


柳瀬はなんだかんだ優しい。朝だって、車に気がつかなかった私を守ってくれた。
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